横串経営

企業組織は専門機能別に階層構造で設計されます。目標も会社全体の目標が部門ごとの目標に分割され各部門が自分の目標を達成すれば全体の目標が達成されるという分業最適化の、フレデリック・テイラーの科学的管理の原理に乗っています。ところが近年のリーン・オペレーションやTOC(制約理論)やドラッカーのマネジメントでは経営目標(KPI)は部分に分割できないことが明確になりました。部分最適の総和は全体最適にはならない。部分は全体に影響を与え、全体は部分に影響する。例えば生産革新で部分工程の生産性を上げることが在庫を増やすことになり、在庫を削減すると手待ち(稼働率低下)や販売機会損失になる。在庫削減と欠品防止も問題は全体の問題として部門間を横断して同期連携しなければなりません。

トヨタ式生産方式の大野耐一氏は部分の効率ではなく全体の効率を上げよと言いました。日産のゴーン改革でクロスファンクショナル経営が話題になりました。部分に分けて責任追及する改善ではなく全体が自分の分担を超えて責任を負う改善が横ぐし、又はクロスファンクショナルなイノベーションと言えます。

今岡式SCMでも基本は横ぐし経営が前提になります。

ドラッカーはマネジメントを社会性生態系の持続の手法と捉えます。生態系は部分と全体を俯瞰しないと部分も全体も認識できないと考えます。