5回のなぜ

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SCM超ルール

本稿のベースとなっている原著「サプライチェーン18の法則」(日本経済新聞社刊、2000年1月発売2001年7月で3刷)では「法則8」として「関係性の法則:99%の従属変数と1%の独立変数が収益を決める」と述べた企業収益への因果関係を述べる。この意味は、場当たり式の改善よりも全体目的と個別の目的の関係、又は原因と結果の連鎖を分析して問題の根本原因に溯って経営改善することの重要性である。
 キャッシュベースの利益を生むための数ある要因の相互の関係性を見つけなければならない。売上が増えないのは何故か。販売力が足らないか、供給力に問題がある。供給力の問題はどんな形で起るか。納期が守られない、補充部品に欠品がでるから。何故欠品になるか? 安全在庫が少なかった。何故安全在庫が少なかったか。過去の出荷データから統計処理して計算されたデータと最近の販売企画は反映されていないからだ。何故反映されていないか。需要変動を統計的に平均化するにはデータが少ない。統計から求める安全在庫とは別に販売政策から求める需要をどのように取りこむシステムが必要か…など原因と結果の連鎖を論理的に関連付けなければならない。

5回のなぜ

トヨタ生産方式が原点になっている「5回のなぜ」は米国でもリ−ン生産方式やTQMのコンサルタントによって普及している。米国発のSCMソフトベンダーが営業活動の一貫として機会分析する「導入診断」に`repeat why 5 times`(なぜを5回繰り返せ)を取り入れている。「トヨタ生産方式を理解する辞典」(山田日登志著、日刊工業新聞社)によると現場の問題を発見するのに5W1H(When,Why,Where,Who,What,How)のみでは問題の核心に迫れない。むしろ「なぜ(Why)」を繰り返して追究することで「真因」を追究することが出来ることを発見した。「真因」とは大元の原因のことであり、熱や頭痛などの症状ではなく病因となる「病元菌」の特定化である。「真因」が発見されて始めて抗生物質などの処方薬の対策が取れるのである。
 前掲書の事例を引用する。機械が動かなくなった。

(1)  なぜ機械は止まったか。オーバーロードがかかって、ヒューズが切れたからだ。
(2)  なぜオーバーロードがかかったか。軸受部の潤滑が十分でないから。
(3)  なぜ十分に潤滑しないのか。ポンプが十分くみ上げていないからだ。
(4)  なぜ十分くみ上げていなのか。軸が磨耗してガタついていたからだ。
(5)  なぜ磨耗したか。ストレーナーがついていないから切粉が入ったからだ。

さて大元の原因(5回のなぜで行きついた「真因」)に対して「ストレーナーを軸受に設置する」という対策が求まる。
しかし、場当たりの対症療法では「オーバーロードにならない範囲で運転するルール策定する」、「ヒューズをたくさん用意して交換する保守体制を整備する」、「潤滑油タンクを大型化する」、「軸受構造の設計変更をする」などカネと時間のかかる対策が場当たり的にいくらでも出てくる。運転ルール、ヒューズ、潤滑油タンク、軸受構造などの問題は「従属変数」であって大元の真因が「独立変数」である。そして従属変数は無数にあるが独立変数は「ストレーナー」絞られる。

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