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逆境を乗り越える何か
2009年1月14日 01:00
「どうしようもない絶望感を味わって打ちひしがれ、
それから前向きな気持ちが湧くよう
心をコントロールするとあります。
今岡さんが家を売る覚悟をされたというのは
こういうことなのですか?」
それに対して以下のように解答しました。
■メール質問ありがとうございます。
私の場合、妻の介護で実質3年間無収入でした。
入院費や生活費、人生エンジョイ費のための
貯金が底をつきそうなので
これからの事業資金や生活費のためにも、
キャッシュが必要だから家を売るのです。
4LDKの一戸建て、男の一人住まいにはムダが多いし、
住宅ローンも負担になる。
家を買った時は、
未だ仕事をしていて、ローンも組めて、しかし、
妻の病気が発覚して絶望感を味わっている状態でした。
妻を娘二人も含めて長い在宅介護を覚悟するため、
ローン返済の方が、
2軒分の家賃より経済的という動機でした。
■家族や自分が病気になった時、収入が無くなった時、
絶望感に襲われますが、
自分を破壊する心を持たないで、
自分にとって大事なモノは何か冷静に考えて
事態に対処する、
心のコントロールが必要です。
ドラッカーも、
中村天風も、
武士道も、
その他いろいろ
メルマガで紹介する偉人の
言葉が役に立ちますよ。
特に、
中村天風の
身に病があろうと
運命に非なるものがあろうと
「怒らず恐れず悲しまず」
逆境を乗り越える力強い態度が
積極人生を築く一番の根本である。
この言葉を何度も反芻しました。
さて、
●今週のテーマ
==================
1.絶望の中で生きるには
2.時代を変える野心的戦略
3.創造的模倣戦略
4.社会生態学マネジメント
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1.絶望の中で生きるには
自分が不治の病に罹っても
家族が不治の病に罹っても
確定診断を受けた時はパニックになります。
絶望感に落ちます。
仕事を失っても命を失うことはない。
路上生活になっても命を失うほどの
絶望感を抱くことはない。
■日本はすでに20年前にバブルが崩壊し、
それから一貫して
経済崩壊で職を失った中高年の自殺が多くなった。
最近は
派遣労働の若者が職を失って
自殺の平均年齢が若返るのではないかと
言われています。
■ドラッカーが言っているように
マルクスもケインズもモノとカネという
経済的価値で人間社会の建設を目指そうとした。
自己責任で人の価値を経済的なモノサシでみる
評価に現代人が慣らされてしまった。
職を失うことで人間失格と考える間違った
考えが普及した。
自分を追い込むことでさらに経済的に
困窮してくる。
■たかが経済ではないか。
心まで貧しくする必要は無い。
私は、
妻の病気を機に絶望への対処を学びました。
2.時代を変える野心的戦略
100年に一度と言われる経済危機は
時代を変える機会かもしれない。
ドラッカーが「イノベーションと企業家精神」で述べている
総合戦略が社会変革に適用できるかもしれない。
■総合戦略の事例を引用します。
★1920年頃まで目立たない化学品メーカーだったロシュが、
ビタミン市場を作った。
学会でも認められていなかった新発見のビタミンの
製品化とマーケティングに、
持っていた資金と借りれるだけの借り入れ金を投入したのである。
★デュポンはナイロンの開発に成功すると総力をあげて
大工場を作り大々的に宣伝した。
市場を作る野心的戦略だけではなく、
総合戦略は公的機関にも使えます。
■フンボルトが1809年にベルリン大学を作った戦略が
そうだった。
当時、ナポレオンに負けたプロシアは国家として
崩壊寸前だった。
21世紀初頭、社会主義も資本主義も
その政治経済は破綻目前と言われていますが、
当時のプロシアも政治的、財政的、軍事的に破綻していた。
そこで、ベルリン大学の創立において
あらゆる分野にわたってそれまでの平均の10倍の
高額報酬を払って最高の学者を招いた。
■すべてを賭ける総合戦略は時代を変える野心的な
目標から始まります。
フンボルトが目指した野心的な目標とは、
18世紀の絶対君主制でもなく、
ブルジョアが支配する共和制でもなく、
テクノクラート(技術官僚)を養成することだった。
能力によって採用昇進される職業公務員が
法の支配によって限定された領域で独立を維持する体制を
確立しようとした。
国家は王家の私物でも、資本家の利潤動機に
従属するものでもないと考え、
能力と法の精神(正しさ)による統治が
なされるべきだとした。
やがてこの体制は大成功し
プロシアは政治的経済的に優位に立って
ヨーロッパ大陸、イギリス、アメリカにとって、
そして明治維新後の日本にとって
モデルになりました。
■しかし、200年経った今、テクノクラートが
縦割りの個別最適、天下りの寄生主義、
自己保身の官僚主義になって機能しなくなったと
言われていますね。
フンボルトの野心的戦略に見習うならば
社会主義的官僚主義でもなく、
資本主義的な経済一辺倒でもなく、
社会貢献によって、
個人の人生を幸せにすることに価値を置く、
マネジメント能力に優れた人材を
公的機関でも民間機関においても
たくさん養成することではないか
と考えます。
そこにドラッカーのマネジメントが活きます。
■フンボルトが人材養成をするのに
最高の学者を高額の報酬で雇った戦略は
現在では
「自立する個人が自己啓発に投資する戦略」
に置き換えられるのではないかと
思われます。
なぜならば
現在の情報化社会における知識労働者の時代には、
当時の最高の学者と一般民衆の知識レベルの格差ほどには
格差がないでしょうから。
■ドラッカーはどんな状況においても、
人間が社会で生きていくための
マネジメントの必要性を説いています。
近代科学の盲点を突いて、
現在の乱気流の時代に多くのヒントを与えていますよ。
3.創造的模倣戦略
100年に一度と言われる経済危機は
もしかしたら数百年に一度の時代の過渡期と言えるかもしれない。
ドラッカーは半世紀以上かけて、
フンボルトの人材養成に匹敵する
新時代を時代を作るマネジメント人材養成の原理を
開発したとも言えます。
ドラッカーをイノベーターとすれば、
ドラッカーを模倣して人類社会に役立てる戦略もある。
総合戦略に続いて
ドラッカーが「イノベーションと企業家精神」で述べている
創造的模倣戦略について話します。
一番手のイノベーションを行った者に引き継いて
社会貢献する製品やサービスを普及させる戦略です。
■代表的事例を引用します。
IBMは1930年代初めに天文学者のために
高速なコンピュータを作ったが、
それを捨ててENIACに乗り換えた。
そしてそれが多目的コンピュータの標準となった。
IBMはパソコンでもイノベーターではなく、
模倣者だった。
イノベーターはアップルだった。
■ソニーのトランジスターラジオも半導体を自ら
開発したのではないし、
セイコーのクオーツ時計も、
P&Gのほとんどのトイレタリー製品も創造的模倣だった。
戦後日本のモノづくりにおいて代表的大企業になった、
現在パナソニックと名前を変えた
松下電器は「まねした電機」と揶揄されていた。
■誰かがイノベーションしたモノを
状況に応じて顧客が望み、
満足し、代価を払ってくれるものに仕上げる。
創造的模倣戦略を行うものは、
仕事を始める頃には市場性は明らかであり
すでに市場は生れている。
製品やサービスを自ら発明しないが、
市場における位置付けや利用しやすい形態への
変換を行う。
創造的模倣は社会的イノベーションとして
ドラッカーは高く評価していますよ。
米国の製造業が衰退した原因が
NIH(Not Invented Hereここで発明されていない)シンドローム
であることを指摘したのもドラッカーではないでしょうか。
日本にはドラッカーの思想に共鳴する経営思想が
古くからありますが、世界史の多くの現象から導き出された
奥深さや汎用性はない。
日本礼賛のみではパラダコス島の生態系のように、
進化が止ってしまう。
4.社会生態学マネジメント
ドラッカーの社会生態学マネジメントの原理は
イノベーションかどうか?
ビタミンやコンピュータのような科学技術原理による
イノベーションと同じように、
ドラッカーのマネジメントは、
いろんな人が長い間引用しているために、
部分的に聞くと言い古された常識のように
聞こえることもありますが
近代科学の長所短所も、
人間社会における宗教や哲学の意味も、
人類が直面してきた政治経済の成功や失敗の歴史を
観察して、
膨大な「知」が組み合わされ統合化された
独創的原理といえましょう。
■私のメルマガに対して、
ドラッカーを教祖のように崇めていると
抵抗のある人もいます。
ドラッカーは自らへの評価が
「実業界から難しい」と言われ、
「学会からは科学的ではない」と言われていると、
述べています。
理性万能主義の現代社会では、
経済学や政治学など人間を画一的に単純化する仮定を置いて
専門分化することが科学的とみなしました。
しかしながら、
■理性万能主義の現代社会から発展した
社会主義も資本主義も、
今は音を立てて崩れようとしています。
人間は単純な機械ではないとする
ドラッカーのマネジメントの原理が
これから重要になってきますよ。
■ドラッカー流の人間の本質を生かすマネジメントは
理性万能主義でも技能万能主義でもない。
戦略(知)
精神(心)
構造(技)
が備わっていなければ効果が無い。
マネジメントは経済学のように
人間を利益最大に行動するという単純化は
行えない。
理性万能主義は
現実よりも、理性が重要であり、
マネジメントの実務と離れていきます。
■専門分野毎に問題が発生しない乱気流の時代は
ドラッカーですよ。
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それでいて虐待や心中に行かずに
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本日もメルマガお読みくださって
ありがとうございます。
今岡善次郎
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株式会社ビジダイン
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ドラッカー学会 会員
http://drucker-ws.org/
東京農工大大学院客員教授
http://www.tuat.ac.jp/~rmmot/about/prof/imaoka.html
http://www.tuat.ac.jp/~rmmot/schedule/syllabus_2008/204_08_supply_chain.pdf
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部分である人は人との関係でしか存在しない。仕事の場で人は組織
の関係でしか、存在しない。どんな専門も他の専門との連携でしか
仕事の成果を生まない。企業は社会との関係でしか存在しない。
科学的管理が説く、外部は単なる環境ではなく、
企業は社会の一部である。
