株式会社ビジダイントップページ>>人を幸せにするマネジメント改革
行動規範とリーダー
2008年11月 5日 17:02
『ドラッカー、行動規範とリーダー』
寒くなってきましたがお元気ですか?
米国の大統領選挙、日本時間で今日5日には
結果が出ているでしょう。
世界が一つの経済圏として
乱気流に巻き込まれている時代、米国のリーダーは
世界経済にも影響を与えますね。
真のリーダーが求められています。
今週は行動規範とリーダーについて話しましょう。
●今週のテーマ
==================
1.行動規範
2.中国古典との関係
3.武士道、陰の部分
4.またまた武士道
5.リーダー論
==================
1.行動規範
あなたがどんな組織で働いていても、
多くの仲間と一緒になって組織の目的を果たして
いますよね。
「投入した労力の総和を超えるものを
生み出すものは優れた文化である」
「優れた文化は精神の領域での行動規範である」
とドラッカーは言っていますよ。
■ 行動規範とは何か?
例えば武士道においての「誠」や「義」などですね。
米国では似たものに
「海兵隊魂(だましい)」
「米国最高裁精神」
「卓越性への動機づけ」
などがあるそうです。
軍隊や裁判所だけではなく、民間企業でも
介護施設でも病院でも、家族会でも
自分の外にある対象(顧客・社会)へ
自分たち組織が奉仕すべきときの
精神のよりどころ、
それが「行動規範」です。
■自分の強みを重視する。
真摯さを重視する。
正義に基づく。
優れた仕事の基準を持つ。
■では、このような行動基準がない場合は
どんな問題が起こるか?
それに対してドラッカーは言っています。
「行動基準無しでは、組織の中に官僚を生む」
官僚とは、一般の認識では、
「目的は自分たちの組織防衛であり
外にある顧客や市民ではない」
と考える人たちですね。
もちろん例外はあります。
■年金や医療、介護などの厚労行政が問題になっています。
官僚にとって
自分達の任期を越えて、
国民の健康と生活を最重視する
「真摯さと正義」が
行動規範となっていたか?
「行動規範が投入した資源の総和を超えるものを生み出す」
2.中国古典との関係
ドラッカーの企業家精神が
日本の武士道に通じるという話から
やや勇み足を感じつつ
近江商法や石田梅岩の心学などの日本的商法に通じる
という話を展開しました。
今日の話はは中国古典ですよ。
■2人の読者から中国古典にも通じる
というメッセージ頂きました。
沢藤さんから寄せられた孔子の言葉。
「見利思義」(利をみては義を思う)
利益を追求するときには、つねに「義」を念頭においてやれ、
という意味ですね。
公けの正しいことでしか利益を得てはいけない。
社会のために役立つことでしか事業の意味はない、
というドラッカーの思想と同じですね。
もう一つ沢藤さんから、墨子の言葉。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
■「兼愛交利 」(けんあいこうり)
「兼(ひろ)く愛する」、すなわち「兼愛」である。
兼愛は結果的に互いの福利を増進することとなるのであり、
そのことを「交利」と呼んでいる。
墨子は、
互いの利益を考え、
実践することから道徳が成り立つことを説いた。
ドラッカーは利益は顧客への貢献の結果であると
言っていますね。
ビジネスは一方のみ利益を享受するようでは
続きませんね。
相互の利益が必要である。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
沢藤さんありがとうございました。
■もう一人、池さんより。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
(ドラッカーが洋の東西を問わず人間の本質から
生き方と仕事観を説いたという認識に対して、)
奇遇というくらいに同感です。
私もここ最近、
ドラッカーと、日本の心学、中国古典、引き寄せの法則など
かなり共通項が多いと思っておりました。
もともとは致知を1年前に読み始めたのが、
大きな転機でした。
■どうも人間を大きくするためには、
時間と空間感覚を
広げることかなと感じております。
そこに、ビジョンを掲げ、
感謝と謙虚の心で貢献すれば、
それそのものが生きている楽しみですし、
不思議と有形無形の楽し
い人生があるように思います。
■また、
最近のマネジメントの方針としては、
長期的、本質的、多面的に
ものごとを捉えるようにしております。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
池さん、ありがとうございました。
「生きている楽しみ」
すばらしいですね。
人生も仕事も、社会とのきずなのもとにあることを
認識できたら、
楽しいですよね。
■ベルリンの壁が崩壊し、
米国型金融資本主義が崩壊し、
次にくる社会が見えてきましたね。
3.武士道、陰の部分
ドラッカーの企業家精神が
日本の武士道に通じるという話から
武士道礼賛して不快に感じられた方
ご意見下さい。
■宮田さんもその一人です。
以下、宮田さんのメールです。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
>メルマガ、いつも興味深く、
>感銘を受けながら読ませて頂いています。
>私は、「人は幸せになるために生きている」
>「人の幸せとは、他の人の役に立つことから生まれる喜び」
>と考えており、ドラッカー及び今岡さんのお考えと、
>共感するところが多くあります。
>ただ、最近の今岡さんのメルマガで、
>「武士道」がたびたび登場している点が気になり、メール
>させていただく次第です。
■どんな食材にも、何か体に良い栄養素が含まれているように、
> どのような教えや、宗教、思想にも、人類の幸せに
>プラスとなるものが含まれていると思います。
>武士道も、同じです。プラスも
>あれば、マイナスもあります。
> 武士道のマイナスの面も考えるならば、「
>武士道」という言葉は使わず、
>その中の「プラスの点」だけを、
>具体的に引用される方がよいのではないかというのが、
>私の意見です。
>少なくとも私には、その方が抵抗なく、すっきりと伝わります。
■> 武士道は、
>「君主のために戦う戦闘要員として、
>どうあれば、君主にとって最適か」という
>視点が起源です。
>あくまでも、「君主のため」であるため、「社会のため」
>「人類のため」というドラッカーの視点と比べると
>、低く狭い視点でしかありません。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
昔、「武士道残酷物語」という映画があって、
藩主の為に殉死したり家族を犠牲
にする藩士の話に武士道に対して陰の部分を感じたことがります。
----------------------------------------------------------
■「君主のためにいかに戦うか」ですから、
>自らがビジョンや戦略を持つことは重要視されていません。
>典型的な例が忠臣>蔵です。
> 「君主の仇をうつだけでなく、世の不正に一石を投じるための、
>私心を捨てた英雄的行為」として、
>日本人の心を今でも楽しませてくれます。
>しかし、あだ討ちが成功した後、自分たちはどうあるべきか、
>そして世の中がどう
>変わることを目指すか、という展望は見当たりません。
>そこまで考えないのが、
>日本人らしい潔さなのかもしれませんが・・・。
>(忠臣蔵は私も好きですが、
>考えてみると、これは「テロ」です)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
■映画では徳川幕府の政道に一石を投じたという
義の部分が美しく語られていましたね。
一般大衆への殺戮はなく、市民は幕府への批判はあっても義士には
同情しましたね。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
■> 武士道の「潔さ」は、太平洋戦争にも利用されました。
>「一億玉砕」という言葉に代表されますように、
>国民全体が赤穂浪士のような
>壮士的な気分でひた走り、何百万人という犠牲者を出しました。
>ビジョンや戦略なき「潔さ」は、
>人として感動を誘う場合もありますが、リーダーとしては失格だ
>と思います。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
■「自己犠牲の正当化は社会を否定する。
死をもって何かを達成できると考えるのであれば
そもそも社会に意味はない」
とドラッカーはナチスに殉じた若い青年の死を
痛んでいました。
「一億玉砕」も同じですね。
■ご意見完全に賛成です。
ドラッカーが武士道と似ていると聞いて
新渡戸稲造を読んで感激したものですから
つい勇み足になってしまいました。
良い面と陰の面がありますよね。
武士道の義(公)の部分に正当性がない場合は
残酷物語と一億玉砕になりますね。
■ドラッカーは組織や社会の一部である人間は
「役割」と「位置付け」が必要で「権力」に「正当性」
がなければならないと言っていますね。
「義」である「公」の部分が藩主や軍部の「私」に留まるとき、
武士道は危険な思想になりますね。
新渡戸稲造の武士道は正当性のある義(公)のため
弱者を助ける(仁)、孔子や自然崇拝の神道から
自然発生した思想であると語っております。
■米国のルーズベルト大統領も
あのエジソンも愛読者だったとか。
明治以降の武士道の評価はプラス面とマイナス面に
分かれているそうです。
武士道を引き合いに出すときこれに触れなければ
不快に思われる方がいるということを認識し、
反省いたします。
■ なお、宮田さんは「幸せ」をテーマにして、
以下のブログを運営しています。
↓宮田さんのブログ
> 「ここで生きる・・・学校では教えてくれない大切なこと」
> http://ameblo.jp/miyatawsp/
> (Googleで「ここで生きる」で検索しても上位に出てきます)
宮田さんのアメブロ拝読させて頂きました。
とても心温まるお話ですね。
宮田さん
貴重なご意見ありがとうございました。
4.またまた武士道
ドラッカーの企業家精神が
日本の武士道を論じて、
宮田さんからの
武士道について気になるご意見を紹介し、
プラス面とマイナス面がある
という話をしました。
■一方でちょっと違う立場の
竹川さんのようなご意見も頂きました。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
いつもありがとうございます。
今岡先生のご文章は、
読者を元気付けるためのものと思いますので、
私という日本人読者に対しては気兼ねなく
「武士道は素晴しい」と言い切って頂いた方がいいです。
でも先生が異論に対し完全に聞く耳をお持ちなのには完服です。
小生は新渡部先生及び李登輝氏を超える人物が出現し
「武士道の負も見よ」と再評価されるのでしたら従いたいと思います。
虐殺や植民地化の歴史のゆえに
キリスト教や西洋文明の名を公言するのを憚る、
ってことは誰も考えつかないと思いますが・・。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
竹川さん、ありがとうございます。
■新渡戸稲造は「武士道」執筆動機について
以下のようなことを言っていますね。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
欧米人にはキリスト教という人間としての行動規範が
あるのに日本人はキリスト教がないのに
どうしてそのように(新渡戸さんの品格ある生き方)
できるのか?
----------------------------------------------
との問いに対する答えだったように思います。
日本人が欧米人と接して劣等感を最小限に抑え
日本人としての誇りをもって
卑屈になることもなく、
精神を鼓舞できた面もあるように
思います。
■「刀」は便利な面と危険な面があるように
人間を鼓舞して元気付けるとともに、使い方を誤ると
危険な思想になる。
武士道も人間を鼓舞する面があるということでしょうか?
毒にも薬にもなるわけですね。
■毒か薬か?
世のため人のための精神の鼓舞か
反社会的な行動への衝動か
それを選択する各個人の心の持ち方が問われますね。
■同時に集団催眠(マインドコントロール)
に対しては、個人の良心と
覚めた自由・自律など大切なように
思います。
これは個人の生き方だけではなく、
企業のマネジメントにも言えますね。
■金融危機に落ち込んだ米国の金融資本主義をもたらした
人間の特質、強欲(greedy)。
強欲(greedy)であることは精神のあり方ですから
これが金融技術を生み、
製造業が衰退しても
金融業おいて産業振興を促進した強力な精神だった
わけですね。
各自、各組織で「行動規範」は自由に設定して
良いわけですが、
そこに社会的正義や人道的価値観が必要ですね。
ドラッカーのマネジメントには
■個人と組織と社会の関係、すなわち社会生態学的
視点からみて正義や責任の重要性を
力説しています。
5.リーダー論
ドラッカーは、
人類に不幸をもたらしたリーダーと
人類のために貢献したリーダーの例をあげています。
■人を引きつける資質を持つカリスマリーダーであった、
ヒトラー、スターリン、毛沢東など
史上かってない悪行苦痛を人類にもたらした。
カリスマは柔軟性を奪い、不滅性を猛進させ、
変化を不毛にした。
■一方チャーチル、リンカーン、アイゼンハワー、
トルーマンなど使命を考え抜き、
見える形で明確に定義して確立する。
目標を決めて優先順位を決め維持する。
特権ではなく責任を重視する。
真のリーダーは人間のエネルギーとビジョンを創造すること
にこそ自己の役割であることを知っている。
リーダーは真摯さ、勇気、責任で人を導く。
■人に好かれ人気のあるカリスマリーダーは
自己を演出するのは長けているが人のため社会のためと言う
使命よりも、自分の存在をアピールすることを目的とする
ケースも多い。
パフォーマンスが優れていることと
リーダーシップは無関係です。
■それに対して社会的使命を第一に考える真のリーダーは
真摯と一貫性を持ち、行動に責任を持つ。
責任ある存在になることは総力を発揮する決心をすることである。
近年の日本の総理大臣、
小泉、安部、福田、麻生
真のリーダーはいたか?
小泉さんは使命を実現した真のリーダーだったか、
単に人気のあるカリスマリーダーだったか?
皆さん、どう思いますか?
■本日もメルマガ最後までお読み頂きありがとうございます。
今岡善次郎
追記:
これからもドラッカーの視点から武士道、
トヨタ式経営など組み合わせて
新しい視点を用意して
皆様のお役に立ちたいと思っております。
あなたの友人や仕事仲間のメーリングリストで紹介し
無料メルマガ読者登録にご紹介頂けるとうれしいです。
ドラッカーの話が盛り上がりますよ。
↓
http://archive.mag2.com/0000269052/index.html
私の10年来のテーマ、サプライチェーンマネジメント
の課題です。
↓
http://www.bizdyn.jp/
ブログ「今岡善次郎のサプライチェーンマネジメント」
↓
http://ameblo.jp/bizdyn/
■このメルマガに対するご意見・ご感想、ご遠慮なくお寄せ下さい。
↓
imaoka@bizdyn.jp
----------------------------------------------------------------
株式会社ビジダイン
http://www.bizdyn.jp/
ドラッカー学会 会員
http://drucker-ws.org/
東京農工大大学院客員教授
http://www.tuat.ac.jp/~rmmot/about/prof/imaoka.html
http://www.tuat.ac.jp/~rmmot/schedule/syllabus_2008/204_08_supply_chain.pdf
----------------------------------------------------------------
部分である人は人との関係でしか存在しない。仕事の場で人は組織
の関係でしか、存在しない。どんな専門も他の専門との連携でしか
仕事の成果を生まない。企業は社会との関係でしか存在しない。
科学的管理が説く、外部は単なる環境ではなく、
企業は社会の一部である。
