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小説を書いたドラッカー

2008年10月15日 08:00

人の内面を豊かにするマネジメント革命を説いたP・F・ドラッカー。
人生設計・企業設計・社会設計すべてに通じる共通する概念とは、
内ではなく外にある成果のために、人が人に貢献する場をつくるのが
マネジメントの目的であること。別名「愛」と言われるもの。




         『小説を書いたドラッカー』


ドラッカーの話、だんだん理屈っぽくなってきたと
思われますか?

毎日接するニュースや身近なテーマを
ドラッカー流の頭脳ならどのように解釈するか

考えながらまとめようと思っています。

5番目のトピックでは理論や理屈ではなく、

小説を書いたドラッカーの
感性のテーマで語りますから

最後までお付き合い下さいね。


今週はのテーマは「組織・人間・感性」です。

●今週のテーマ
==================
1.組織は社会の機関
2.人間は多元社会の一員
3.マネジメントとファシリテーション
4.専門家とマネジメント
5.ドラッカーの感性
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1.組織は社会の機関

ニューヨークのダウ平均が1万ドルを割り、

日経平均が1万円をわった悪いニュースがかけめぐりました。

金融システムの破綻が

実態経済を不況にする。

■世界レベルでカネとモノの流れが連動しているんですね。

モノを作っている会社も、売っている会社も、

カネの貸し借りでモノの流れを円滑にするはずの金融機関も

お互いに連鎖した社会の機関として機能しています。

企業という組織は社会の機関ですから。

個としての独立した機関は存在しません。

■企業は社会の機関であり社会的な機能である。

「企業にとっての社会は器官にとっての身体である」

生態学者ドラッカーの最も特徴的なメッセージです。

組織と社会は生態的に結合している。

個人と組織も結合している。

■一方、現代科学による常識では

「社会は組織にとって単に環境である」

「組織は個人にとって単に環境である」

と解釈します。

つまり我々が受けた科学的教育は個を社会から分断する

ことでした。

果たしてこの考え方は人間の本質にあっているでしょうか?

何かむなしいというか、寂しいと思いませんか?


■現代科学では、対象を

分断・分析して閉じたシステム

として理解しようとする。

個人中心主義が受け入れやすいのです。

■アルツハイマー病の妻と他の認知症患者を見て思うのこと。

人とのつながりを拒否している患者と

笑顔で人と人のつながりを持てる患者と

どちらが幸せか。

介護士さんを環境と見るか、自分の生活の一部とみるか。

幸いにもの見分けができるようになりました。

■「社会は企業にとって、海が船にとってのように

環境ではない」とも言っています。


2.人間は多元社会の一員

今年は4人目の日本人がノーベル賞取りました。

オリンピックで日本人が金メダル取るときも
うれしいですよね。

われわれは個人として存在しているのではなく、
日本人として存在している証明です。

■つまり日本という社会に属していることの
一体感ですね。

同時に地球人でもあり、東京都民や千葉県人でもあり

特定の会社の社員でもあるわけです。

ドラッカーによると
人間は多元社会の属しているんですね。

■先週の水曜日は、

午前中は妻が入院している浴風会の家族会に参加し、

妻と面会してしばらく時間を共に過ごしました。

日本では治験薬、米国で承認された

アルツハイマー治療薬を、今年7月から個人輸入して
飲ませていますがそれが効いているようなんです。

「笑顔見せ 時に会話も 成り立つを 

くすりの効果 ありがたきかな」

■症状の進行を遅くするだけであったとしても

家族とのコミニケーションできる時間を少しでも

先延ばしできる薬はありがたいものです。

■午後3時半、自宅に戻り経済ニュースに接し

株価の暴落に接し、世の中が何かとてつもない激変に

見舞われる予感を感じました。

世界の金融システムの崩壊も、90年代の日本経済の低迷が

世界レベルで起ろうとしているのでしょうか。

夜は気功の同好会で練習しました。

■この日私、今岡善次郎は、

アルツハイマーの妻の夫として

家族会のメンバーとして、

日本人として、

世界経済の乱気流に巻き込まれる地球人生活者として

気功の会の会員として

多元社会の中で生きてきたわけですですね。

■ドラッカーによると

近代社会は一元的な中央集権化が進歩とされたが

これから中世の多元社会になっていくと見通していました。

一元的中央集権とは

国家だけ、会社だけ、・・・だけに捧げる人生が価値あることする

仕組みですね。


3.マネジメントとファシリテーション

私のメルマガ読者で「ファシリテーション」のスキルを
指導している
人材育成コンサルタントの高野文夫様がいます。

「現代に生きる武士道のこころ」という
論文を送ってくれました。

ファシリテーションとは「物事を前に進める」、「促進する」
、「支援する」という意味がありますが、

マネジメントとはかなり重複した概念のように
見えますが、
高野さんいかがでしょうか?


■明治維新の時代に日本を幕藩体制から議会制民主主義体制に
極めて短期間に変化させたのは世界史の驚きでした。

この社会制度をファシリテート(進め)たのは

武士道精神であったというのが高野さんの説です。

坂本龍馬は薩長同盟を結んで幕府に対する勢力を統一して
歴史を動かした。

勝海舟は幕府側から倒幕軍のトップ西郷隆盛との
交渉で江戸城の無血開城を進めた。

当時30歳前後の若き武士達の心の姿勢は
武士道からきていますよね。

■自分の命よりも大事にした公の精神としか
言いようがありません。

ただし公とは自分が属した藩ではなく日本であった。

武士道を、
「藩のために犠牲にする封建体制」
と見るならば坂本龍馬の
ように脱藩する武士はいなかったはずです。

多くの志しある若き武士達は「藩」から「日本」に
公の対象を変えていた。

■日本が世界史的に乱気流の再び巻き込まれたとき、

消えていたと思っていた武士道が再び
日本人の心に火をつけないとも限らない。


■ドラッカー好きの日本人が多いのは

「マネジメントの目的は内部(自分達)ではなく
外の世界(公)にある」

というメッセージに共感するからだと思います。

■過去20年の米国の経済の繁栄は金融のテクニックで

作り上げた信用経済が

実体経済を膨張させただけだった。

しかし経済で人々が幸せになったかどうか。

ドラッカーはアメリカにいてカネとモノに価値を置く
経済に批判的だったのです。

マネジメントは経済的に成功をもたらすことは
あってもそれは目的ではなく、
手段だとした。


4.専門家とマネジメント

ドラッカーのマネジメントは人間の本質を基盤にしていると

なんども話していますね。


■人間の本質は

自由、自立、卓越性を求め、真摯に

人のために尽したいという責任を持ちたがり、

組織の中での役割と位置付けを求めてると、

話しました。

■ところが産業社会では企業の役割が分業され、

企業の中でも専門が細分化されてきています。

技術もノウハウも奥深い知識が要求される時代に

なっています。

■製造や営業の経験者は経理ができない。

経理の経験者は営業ができない。

専門性とは知識と技能ですね。

狭い分野での経験を深めると力を発揮する。

国政レベルでも行政府毎に専門がある。

財政、産業政策、防衛・・・。

■以前、「スキルに仕事をあわせる」のではなく、

「仕事にスキルをあわせる」のが大事だと話しました。

スキルを専門に置き換えると

専門に仕事をあわせるのではなく、

仕事に専門をあわせことが必要になる、

とも言えます。

■ドラッカーはこんな言い方をしています。

自らの昇進が

経理部内の権力によって決定されると考える者は

企業への貢献ではなく、

経理の専門能力を中心に考えるので

企業の一隅しかしらず、視野も偏狭になる。

■国政レベルでいうと、

自らの出世が

行政府内の権力によって決定されると考える者は

国民への貢献ではなく、

所属する行政府の専門能力を中心に考えるので

行政の一隅しかしらず、視野も偏狭になる。

■機能別組織の問題は

適切な基準や目標の設定が難しく

専門性に関する知識や能力や手法に焦点を当てるので、

ビジョンや組織への忠誠心が偏狭になる。

■したがって、

専門家が成果を上げるには他人によって

理解されることが必要で、

専門家同志が通じればいいと考えるのは

傲慢である。

とドラッカーは言っています。

■今起っている米国発の金融危機は

専門家しか理解できない金融工学によって

信用経済が膨張した結果と言えませんか?

実物経済も、金融経済も

国民の幸せに焦点を当てるべきなのに、

それぞれの専門分野での最適化に

走りすぎた。

政治家じゃなく軍隊が引き起こす戦争も

同じような原因ですね。。

専門はあってもマネジメントがなかった。

■今回の金融危機が恐慌に発展しそうになったら

その時こそ、

マネジメントの出番じゃないでしょうか?


5.ドラッカーの感性


壊れ行く妻とともに生きてゆく時、

心を支えるものは理屈ではありません。

そんな時になぜドラッカーにはまったのか?

ドラッカーのマネジメントの原理に

人間の持っている感性というか情念のようなものを

非常に大事にしているからだと思います。

それが心に響いたのかもしれません。

■私が社会人になった25歳の時に同じ会社に

同期入社した黒田さんが
メルマガにコメントしてくれました。

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時折理論の隙間に

垣間見る人間の感性、

あるいは情念のようなものに惹かれます。 

長いビジネスとかロゴスの世界にいた
反動なのでしょうか。

今まで埋めきれなかった人生の
空洞を余生のなかで埋めていきたい

願望なのでしょうか。

時折、作歌をされているようですね。

何かこころに変化、ギャップ
を感じた時、

自己を表現するもっとも身近で(日本的で)
簡単な詩形式
だと思いますので、
お互い続けていきましょう。
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■黒田さんの短歌

「庭のぞむ和室に母のけはいなく水打つ朝のひかりまぶしく」

お母さまが退院できる予定の5月を過ぎて容態が悪く
なり、帰宅できなくなったある夏の朝、強い日差しの庭の
景色を歌ったものだそうです。

2人とも技術者として職業人生を
スタートした当時、

お互いに短歌を詠むなんて信じられませんでした。

情とは人生に潤いを与えるものだとは
還暦にして初めて理解できました。

黒田さんは、
NHKの短歌教室に通っている本格派です。

私の場合は主として介護が短歌のテーマになっている
のですが、次のようなアドバイス頂きました。

黒田さんの場合は、
■季節の移り変わり、花や樹木の様、
子供や友との交流などをテーマにしたものがなぜか題材に
なっているようです。

将来は自然の大きさ普遍性を歌えないか、
またさわやかに笑えるほのぼのとした
ユーモラスな歌を作れないかなどと
おもいを巡らしています。


今岡さんもいろいろなテーマに
チャレンジされてはいかがですか。

経営理論の実景を具体的に
詠うのもおもしろいかもしれませんね。

■それでは黒田さんのアドバイスにのって2首

「ドラッカー はまってみれば 懐かしい 人と人との 絆の原理」

「人は皆 自然の一部 お互いに 共生しつつ 生きてる組織 」


■ドラッカーのマネジメントは人間の本質を基盤にして

いながらイノベーションやマネジメントの原理は

論理的に書かれているので

感性の部分を見逃します。

実はドラッカーは小説も書いているんですね。

私はそれを読みたかった。

出版社はマネジメントのドラッカーの小説は売れない

と考えたようです。

■そこに出版業界にもある専門分化、

マーケティング戦略にのらなかった。

とても残念に思います。

「経営は理論以上に情が大切である」
ですよね。

■本日もメルマガ最後までお読み頂きありがとうございます。

今岡善次郎

追記:
これからもドラッカーの視点から武士道、

トヨタ式経営など組み合わせて

新しい視点を用意して
皆様のお役に立ちたいと思っております。

あなたの友人や仕事仲間のメーリングリストで紹介し
無料メルマガ読者登録にご紹介頂けるとうれしいです。

ドラッカーの話が盛り上がりますよ。

http://archive.mag2.com/0000269052/index.html


私の10年来のテーマ、サプライチェーンマネジメント
の課題です。

http://www.bizdyn.jp/

ここに私のプロフィール載っています。

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私のアプローチの原点になった「小説 ザ・ゴール」の
解説しています。
ブログ「今岡善次郎のサプライチェーンマネジメント

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