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武士道と吉田松陰

2008年9月24日 08:30

人の内面を豊かにするマネジメント革命を説いたP・F・ドラッカー。
人生設計・企業設計・社会設計すべてに通じる共通する概念とは、
内ではなく外にある成果のために、人が人に貢献する場をつくるのが
マネジメントの目的であること。別名「愛」と言われるもの。

         『武士道と吉田松陰』


秋分の日の昨日、よく晴れました。

今日は一人で自宅のある新中野から以前住んでいた
中野坂上まで歩きました。

この道は、妻の在宅介護の期間、ほぼ毎日2人で歩いた道。

「手をつなぎ 毎日歩いた 散歩道 ひとりで歩く 2倍の速さ」

介護での散歩はゆっくり歩きます。

一人で歩くと早い早い。

●今週のテーマ
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1.音楽演奏と医薬分業
2.ドラッカー学会研究会
3.役割と位置
4.成すべきを成す
5.責任と貢献
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1.音楽演奏と医薬分業

前回、仕事を設計する時、
「スキルに仕事を合わせるのではなく、仕事にスキルを合わせる」
のが重要だとお話しました。

ミュージシャンの小草さまから興味深いメールいただきました。

■「仕事をスキルに合わせるのではなく、スキルを仕事に合わせる
ことが必要である」

が音楽にも言えるとのこと聞いて感動しました。

音楽が仕事で演奏技術がスキルだとすれば、
演奏技術に音楽を合わせるのではなく、
音楽に演奏技術を合わせるのです。

トヨタは設備機械にモノづくりを合わせるのではなく、
モノづくりに設備機械を
合わせることで世界一の自動車会社になりました。

■小草さまの音楽教育は演奏技術からではなく、
音楽を中心において、演奏技術を音楽に合わせるようにすれば
演奏技術も上達するということの
ようです。

音楽は全体だが技術は専門別(楽器別)ということですね。

大変興味あるテーマです。



■又今岡が長年お世話になっている歯科医師のナオキ先生は僕のメルマガ
読んでくれて診療中にお話してくれました。


今岡さんのドラッカー読んでいますよ。読んで感じたんだけど

我々の医療業界で米国のやり方である医薬分業という社会的分業。

顧客である患者さんのこと考えていないよね。

■我々患者は病院や診療所で診断してもらい処方箋を書いてもらい
別の場所にある薬局へ行かなければならない。

患者サービスから離れてしまった。

支払も分かれている。

医薬分業前は医療(仕事)にスキル(診断・処方と薬の提供)が合わせられていたが医薬分業になって、

「スキル(診断と処方、薬)に医療が合わされている」


■医薬分業の目的が医療費削減であたっとしても効果あるかどうか。

ましてや患者という顧客の利便性を第一に考えれば、疑問ですよね。

ナオキ先生は、医師の立場からみて、医療もマネジメントができていない

と思われています。


2.ドラッカー学会研究会

先週ドラッカー学会研究会がありました。

渋谷のフォーラム8で20人ぐらいのドラッカー好きが集まり
以下2つのテーマでプレゼンとデスカッションしました。

・ドラッカーとマックス・ウエーバーのプロテスタンテイズム
 と資本主義の精神の視点から(石川さん)

・ドラッカーの著述と日本の現状にみる『マーケテイング』
 と『マネジメント』(後藤さん)

ドラッカーをどう読むか、他の識者とどう違うのか、
ドラッカーは誰に影響与えたか。

■石川さんも後藤さんもドラッカーだけではなくいろいろ
勉強されていました。

熱の入ったプレゼン、いろんな意見、賛同・異論
多様な見方が披露されました。

「それぞれのドラッカー」があり、ドラッカーのどんな面に

興味を示すか人さまざまですね。

人生、企業、社会さまざまです。


■そしてドラッカー学会代表でドラッカーから分身と
信頼されていた、

翻訳者の上田淳生先生のお話。

・ドラッカーのマネジメントとは、

・ドラッカーとの信頼関係を築いた経緯など

■上田先生のお話に感銘を受けました。

・ドラッカーのマネジメントは『ミッション』、『人』、
『社会的責任』につきる。


誰を顧客にし、どんな貢献をするかのミッション。

働く人の内面を豊かに幸せにするという人に関わること。

組織は自分達のためだけではく、社会の機関としての
社会的責任があること。

■もう一つ、上田先生がドラッカーの信頼を得た理由。

勤務先の経団連で大学教授をリーダーとするドラッカー翻訳チーム
に参加したのが最初だったそうです。

数人で翻訳して、チームリーダーが訳を手直しする。

手直しした訳が気に入らない。

・ドラッカーに手紙出した。

ドラッカーは上田先生の手紙を読んですぐ上田先生に任せた。

・ドラッカーの原稿を読んで200項目にわたる質問をした。

・原稿が長すぎるから短くして欲しいと要望を出すこともあった。


■ドラッカーを日本人に読ませるために真摯に取り組んだ
上田先生の人柄が滲み出るお話でした。


3.役割と位置

■認知症を患った妻が、

家事を担う主婦として、
子供達の母として

自分の役割が果たせていないと感じる
ころから妄想や暴言が出てきたように思います。

病気のことを理解してくれていたヘルパーさんは、

妻の主体的な家事従事者として役割を尊重してくれていました。

「お味はどうでしょうか?」

「ここのこのお皿置いて良いですか?」

等と妻を立てることで気持ちを落ち着かせる工夫をしていました。

ありがたいヘルパーさんでした。


■企業組織でも、企業の目的や使命のもとで、

社員が全体の中で自分の役割と位置づけを

自覚できているときに内面の豊かさを感じると

ドラッカーは言っています。


■定年退職の年齢になった同輩の皆様、

会社人間としての役割と位置づけで生きた人生。

それが突然、家族や地域社会の中での役割と位置づけを

どう設計するか、大きな課題ですね。



■機能中心、専門中心の現代産業社会は、機能集団に

埋没しやすい。

自分の専門が属する組織の目的とどんな関係あるか

企業構造の中でどんな位置にあるか、

これが分らないと不安になり貢献もできない。


■無職であること、浪人であることの一番の問題は

経済的なことだけではありません。

社会との位置づけや役割から断絶されることの

恐怖がもっと大きいかもしれません。

私が企業勤務から自営業になって16年、自由であることの

満足感の一方で、自分の役割と

位置づけの恐怖と戦っていたような気がします。

今、その戦いの戦友であった妻が傍にいない。


■「どんな組織でも、一人ひとりが役割と位置づけを持ち、

計画と実行の責任を持つように仕事を設計する必要がある」

とドラッカーは言っています。

前回のテーマ「スキルに仕事を合わせるのではなく、

仕事にスキルを合わせる」仕事の設計とともに

考えさせる名言ですね。


4.成すべきを成す

    
秋祭り
「ソイヤー~ショー、ソイヤー~ショー・・・」の掛け声、笛や
太鼓で、神輿の行列が見られました。

前回の日曜日、は台風一過の秋晴れも束の間、東京は秋雨。

病院へ息子夫婦と2歳になる初孫、娘と私の5人で

妻との面会に行きました。

いつもなら浴風会の緑多い敷地を散歩するのですが、雨でしたので

レストランでケーキと紅茶を楽しみました。

「元気よく 歩いて笑顔の 孫を見て きみの笑顔と 癒されし時」

言葉は少なくても妻と孫の笑顔に、とてもありがたい時間を

過ごしました。



吉田松陰の言葉を紹介します。

■幕末長州の吉田松陰が死罪を前に書き残した書の一部

「人間というものは、生死を度外視して、要は成すべきを成す
心構えが大切なのだ」

成すべきことは何か。

■ドラッカーも
「経営とは哲学でも科学でも宗教でもない。
成すべきことをなすことである」と言っていますね。

社会は永続しなければならないとも。

年金問題・医療介護問題で、永続的テーマで失敗している行政の
マネジメントも、

四半期毎の決算に振り回されている企業のマネジメントも、

在任期間だけの仕事しかしていないことが後世に問題を先送りして
いると言えるでしょう。

■松陰は自分が死んだ後の日本のために仕事をした。
長州藩から維新の人材を輩出させ近代日本を作った。

第3の生産性革命は「百年の大系」も考えなければならない。

一昨日、メルマガ読者で、大手製造業の部長で技術士の江崎さんと
夕方ビールを飲みながら意見交換しました。

人類は石油や原子力ではなく、
太陽エネルギーに頼る政策に切り替えないと
人類は100年持たないだろうと。

■技術的にはエネルギー源の切替は可能だが、既存の産業のしがらみ
が制約になっていると。

自分達の生きている時間には問題は発生しないが、100年後の
顧客のためにマネジメントが必要ではないか。

技術者といえども受身で仕事をするのではなく、
人類社会の永続と人間の幸せを目標として、
専門分野の知識の連携と結合をはかる
第3の生産性革命としてのマネジメントを必要としている
と言えないだろうか。

すなわち、どうするか(HOW)ではなく、何を(WHAT)
するか、誰のためにするか。

民間企業といえども「私」から「公」への仕事の価値観という
点では新渡戸稲造の「武士道」ともドラッカーとの共通点があるのだ
そうです。

上田淳生先生から聞きました。


■幕末の吉田松陰やその背景にある日本の武士道の精神
、そこからくる仕事観とドラッカーの仕事観には共通する
ものがありますね。

そういえば、ドラッカーは中世の価値観に戻ると未来を洞察して
いましたね。


5.責任と貢献

ドラッカー・マネジメントの仕事の設計、今日は「責任と貢献
について考えてみたいと思います。

■近代産業の組織において「資格/権限/指揮命令」が常識とされました。

資格は役割を制限し、

権限は一部の人に権力を与え、

指揮命令は頭と身体を別の人に分けてしまった。

働いている人は顧客の方を向かないで自分のボスばかり
気にするようになりますよね。

だから「資格/権限/指揮命令」ではなく、

責任と貢献」が一人ひとりに問われると。

■ドラッカーの知識労働者の生産性向上のためには組織構造を
根本的に変える必要があると言っています。

責任を持って貢献するためには、一人ひとりが

「正しい役割と位置づけ」を持ち、
「必要な情報」を与えられ、
「高い基準」を持ち、
「マネジメント」の視点を持たねばならない。


■どんな組織に属していようとも

言われたことをやるだけで終わる人生で終わって良いでしょうか。

主体性を持って、マネジメントをする。


■そして組織は「個人の能力と責任」を基礎に
「社会に対して一つの使命を司る道具となる。


■やや理屈っぽい話だったでしょうか?

ドラッカー正しく理解するために。

こんな話も我慢して
聞いてくださってありがとうございます。

■このメルマガに対するご意見・ご感想お待ちしています。

imaoka@bizdyn.jp

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部分である人は人との関係でしか存在しない。仕事の場で人は組織
の関係でしか、存在しない。どんな専門も他の専門との連携でしか
仕事の成果を生まない。企業は社会との関係でしか存在しない。
科学的管理が説く、外部は単なる環境ではなく、
企業は社会の一部である。

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