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こんな医師がたくさんいたら

2008年7月28日 14:58

◆━【今岡善次郎のマネジメント・メルマガ】#2━━━━━━━━━━━◆

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『連携:こんな医師がたくさんいたら』


こんにちは。今岡善次郎です。

今日はドラッカー流マネジメントからみて理想とする
2人の医師を紹介しましょう。


まず一人目。

平成20年7月25日東京都多摩市のパルテノン多磨大ホールで
NHKと読売新聞社主催の「認知症フォーラム」に参加しました。


長谷川式認知症スケールの開発者として有名な長谷川和夫先生の基調講演の後、

医師の新田國夫氏、ケアマネージャーの長澤かおる氏、家族会の大野教子氏
の3人をパネリストにして、NHKアナウンサー町永俊雄氏がコーディネーター
となってパネルデスカッションが行われました。

マネジメントの視点から見て、とても印象深かったのは
新田医師の仕事の姿勢です。

一般に医療業界では医師を頂点とする専門分野別の権威の
ランクがあるのはご存知ですよね。

そして患者を人間としてより、病気と言う肉体的異変の専門家
として成り立っている。


また患者と医師の関係は、本来、需要者と供給者の関係ですが、
顧客と事業者のように、顧客である患者が優位にないどころか、
逆です。


さて新田医師、
もともと病院の消化器外科として救急救命医でしたが、
「死なせない医療」から「生きるための医療」をやりたくて
開業医となり、患者の生活を見る医療を実践している。


目的がはっきりしている。
「認知症になっても残った感覚で人生を楽しませたい」


食べること、見ること、感じることで家族も喜ぶという。


はい、介護家族として涙がでるほど嬉しい。


医療業界の常識では、専門性に応じて
医師・看護士・介護士等序列がある。


ところが、新田医師は、目的から入ってやるべき仕事を考えている。
自分の専門だけで勝負しない。


家族だけではなく、別の専門家、日常患者を世話している、
介護士や、看護士から多くのことを学んだそうです。


患者とその家族の日常の困難に向き合っている。
「先生」という立場で高いところから見ない。
患者とその家族を顧客と考えているといってもいい。


同じ目線で心を通じあわせている。


食べることについては自分の専門ではない歯科の名医につなげて
本人にピッタリの入れ歯を作ってもらっている。


自分の強みとする医者としての専門知識を軸に、歯科医、看護士、
介護士、そしてケママネージャー、ヘルパーと協業する。



そして2人目の医師。


NHKフォーラムの2日後の昨日、7月25日、
四谷の上智大学のキャンパス内で開催された、若年認知症家族会
「彩星の会」での講演された松本一生先生。


演題「認知症介護家族と支援者の心のケア」


医師になって間もない頃、
認知症を病む妻を介護することに人生を捧げている夫を
褒めたそうです。

そしたら介護者は一層使命感を持って頑張った。


その結果が介護者は無理をして自律神経を壊して
虐待事件を生じさせてしまった。


それ以来、本人と介護者をセットでケアする
医療と介護と心理と連携する必要性を痛感したそうです。


医者は診断の後、不安のさなかにいる家族も含めて、
医療だけではなく、介護、社会支援の連携で、心のケアを
する必要があると自分の仕事に使命感を持たれました。


私は以前松本先生の本を読んで、
介護者としての姿勢維持に大変役立ちました。


医師としての使命や目標を病気という狭い対象にしていない。


専門の連携で患者とその家族に向き合う。


自分の専門と他の専門を連携させて、様々な専門家という人的
経営資源を顧客満足に効果的に変換する連携作業のマネジメント。


実はこれは私が、経営コンサルタントとして
専門としているサプライチェーンマネジメントの定義です。


サプライチェーンマネジメントのモデル企業は
世界の製造企業が学んでいる日本のトヨタ、
トヨタ式経営から出たセル生産で有名なキャノン等です。


私の解釈ではトヨタ式経営の特徴は、一般に言われるカンバン方式、
改善などではなく、社員一人ひとりが専門家であるとともに、
マネジメントの視点を持っていることです。


さて先に述べたNHKフォーラムでのパネルデスカッション。
パネリストのみなさん、このような連携の大事さを
議論されました。


町永アナウンサーの
「どうして、このような連携がうまくできないでしょうか?」
との質問に、


「医者の教育が十分ではない」


「志しの高い若い医者も『先生』と言われるようになって
高みに上ってしまう」


「目的よりも自分の専門、興味で仕事をする」


家族から見ると、医者や看護士、介護士、ケアマネージャー、
専門家で、認知症にともなう本人や家族の不安を本当に分っている
人があまりにも少ない。


新田医師や松本医師のような医療従事者のお世話になれる患者と
その家族は一握りの幸運者でしかないというのが
家族会での本音の議論です。


家族会は専門の医療者に遠慮して本音が言えない。


当たり外れの運次第で医療や介護がされているとしたら、
この分野こそマネジメントが必要ではないでしょうか。


マネジメントは人を幸せにする行為です。


マネジメントは科学でも学問でもない。


マネジメントは並みの人間組織に卓越する仕事を
させる方法である。


ドラッカーはそういっています。


どんな専門の仕事をしていてもマネジメントは
門外漢だからと言って逃げないで下さい。

マネジメントは目標とは何かを問い、必要な資源と
やるべき仕事を定義し、そして
共通の目標に向かって連携すること。


それが新田医師や松本医師がやったことです。


多くの医療専門家は新田医師や松本医師と同じような知識や
能力を持っているかもしれない。


その差はマネジメントをやったかどうかだけだと
言うことがわかりますよね。


また、次号で。


ドラッカー流マネジメント求道家
今岡 善次郎


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若年認知症家族会「彩星の会」会員
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